なんか会社への往復の毎日が・・・ほんにつまらんのぅ〜(;一_一)
ヤクルトの古田さんほどではござりませぬが、拙者も疲れておる。
武士に祭日なぞござりませぬ故(ーー゛)
角川映画で『戦国自衛隊』のリメイク版の製作がはじまった由・・・
気分転換に、この
エキストラの募集でも応募いたそうかのぅ?
されど拙者のような名をしおう武将が、名も無き雑兵として討たれるはまことに不本意至極!
加えて“疾走シーンあり”という一文が難ありじゃ。拙者、疲労困憊で体力にも自信が無いしのぅ〜
・・・“失踪シーン”ならば自信はありまするが(爆)
ん?
ぽ〜〜ぽぽぽぽぽぽぽ〜ぽぽ〜
これはっ!?
オカリーナの音色じゃ!街頭での演奏会かや?
この透き通るような調べ。寂しげであり、それでいて心温まる旋律・・・
拙者は“笛”とつく楽器はみんな大好きじゃ。
しかもこの曲は、
【G線上のアリア】
言わずと知れたバッハの名曲じゃ。
疲れきった身体にしみいるのぅ〜拙者、ふと足を止めて聞き入っておった。
『どこにでもかかってるよね、この曲』
ふと、思い出の底から蘇って来る言葉・・・
拙者このG線上のアリアを、やれ美術館やらプラネタリウムやらレストランやらで聴くたびに“ある出来事”が思い出されまする。
そこには当時、疲れ果てた拙者の心身を癒してくれた人達が住んでいる“空間”が息づいておりまする。
・・・その頃拙者は、
ドン底じゃった。
されど、お陰でいろんな人に出会えてほんに楽しかった♪
この曲と、あいつと・・・あの娘と。
もう忘れかかっておるのが辛いのじゃが、それだけ拙者が今“元気”だという証じゃな?
だってその時拙者は、
病院のベットで横たわっておったわ。単車にて自爆事故を起こしてのぅ〜救急車で担ぎこまれたんじゃ。
もう何年前だろうか?凍てつく冬の晴れた朝の事件じゃった。
幸い骨折もしておらんて全身打撲の診断じゃったが、我が愛しの愛車は・・・
燃えてしまったわ。
苦楽を共にいたして来たSUZUKI・GSX〜R(通称ジスペケ)は、拙者の身代わりとなって昇天してしもうた!
拙者のせいじゃ・・・
警察の人は現場を見た瞬間に“死亡事故”だと思ったそうな。医者の先生もこんな軽傷なのはまさに“奇跡”じゃと申しておった。
若い頃はバカいと申すか、一歩間違えれば死んでしまうような愚行を平気でやってしまう。
これが君を守ってくれたんだ、と警官が渡してくれた一枚の神社の御札。これは単車に入れておったんじゃが、何故か燃え残っておった。
夏の炎天下に単車をコロがして御参りに行ったとよ。
単車を御祓いするのもはじめてじゃったし、物珍しいのか周囲の人が好奇の目で観とったわ。
拙者は真剣ぞ。ふん!
不幸中の幸いと申すか、命あってのモノダネじゃ・・・御利益があったのカモ知れんて?
近所の幼稚園児が病人を慰めるために各病室でクリスマス会をしてくれておったが、傷心しきった拙者の耳にはチ〜とも入らなかったわ。
次の日、ツーリング仲間がお見舞い来てくれてバイク雑誌を置いて帰ったとよ。
かすり傷すらおっておらぬ拙者を見て安心したのか、すでに笑い話になっとった。
こんな時は仲間がおるとエエなぁ〜とのん気に思ったんじゃが、パラパラと雑誌に目を通してみても一向に気分がのって来ぬ。
(単車かぁ・・・)
歩けるようになった二日後に拙者フラフラとトイレに行ったんじゃが、
「新しいお客さんだ」
と休憩所にたむろっておった怪我人集団に声をかけられ申した。
「え?バイクが炎上??派手なわりに骨折もしてないんですね。僕なんかバレーボールで骨折ですよ」
そう申す車椅子に乗ったヤツの足を見てみると、ギブスでガチガチに固められておった。
が、右腕が・・・ない!
椅子に腰掛けてしばらく話すと秋田県からやって来た、拙者とタメ年だとわかったわ。
「なんで敬語を使うのかですって?いいじゃないですか。楽なんですよ」
結構、しゃべる方言をバカにされたらしい。ココ(埼玉)でも方言はあるけど、あんま気にしないのに・・・
「次の単車は何買うんですか?」って彼が。
(単車かぁ・・・)
年末になって一時帰宅の許可がおりたとよ。
帰ったら風呂に入りたいのぅ〜♪病院に来て一度も湯に浸かってないからの。
洗面所でベタベタになった髪の毛を眺めておると、女の子がひとりやって来たぞな。
「お風呂入らないの?気持ちイイよ♪」
ニッコリして言う。あるの?
「そっか、女子用しかなかったっけ」
んだよぅ〜!
「あなた、この間救急車で運ばれた人でしょ?ずっと見てたモン」
それからずっとその娘のマシンガントークがはじまった(汗)
「あたしなんか病院の目の前でクルマが横転しちゃってさぁ〜いらっしゃいませ状態でソッコー入院♪」
・・・チョー元気じゃん。
「お正月は帰るの?じゃあ、良いお年を♪」
なんかこの病院、妙に明るい雰囲気じゃな?
なんで??
正月に厄払いの御参りを済ませてから拙者、再び病院へ戻って来たで御座候。
兄ちゃんがオートマチック車を貸してくれて助かったぞな〜♪左肩が痛い故、自分のマニュアル車は運転出来ぬからの。
病室に帰る途中、待合室で例の女の子に会ったぞな。
「お帰りぃ〜♪」
ただいまぁ〜♪
「ここに座りなよ。イイ曲が流れてるから」
うん。まるでミュージアムにおるようなメロディ・・・
「G線上のアリアっていうのよ。バッハね」
バッハかぁ・・・心が落ち着くのぅ〜
少し話してからその娘が、
「お年玉もらったからちょっと出動しない?クルマで来たでしょ?ずっと見てたモン」
出動って・・・ココ(病院)を抜け出して?怪我人が??
「早くぅ〜♪」
それから拙者、その娘とドライブに出掛けたとよ(汗)
クルマのラジオをつけると、なんとな〜く聴きなれたソングが・・・
「Sweetboxだよ。『 Everything's Gonna Be Alright 』っていう、アリアのカバーみたいな曲ね」
ふ〜ん。
「バッハが想い出の曲になっちゃったりして!?」
事故の?確かに(大汗)
ドライブからの帰りに寄った病院隣の喫茶店でも、あろうコトか・・・G線上のアリアがっ!
「どこにでもかかってるよね。この曲」
病院の待合所では怪我人達が集まって毎日笑い話を興じておった。
不思議じゃなぁ〜この空間。日に日に元気になっていく自分がわかるとよ。
「怪我が治ったらまた単車に乗るんでしょう?」
また車椅子の彼が言う。
「僕も足が治ったら乗りたいんですけど・・・右腕は治らないから」
それって、単車でやったんかや??
「そうですよ?なんで今まで訊かないんですか?優しいですね」
優しい?違うとよ!怖かったんじゃ・・・訊くのが。
みんなは平気で訊く。その自然な雰囲気がココのイイトコロ。連帯感というか、仲間というか・・・
「バッカじゃないの!もう知らないっ!!」
その声に振り返ると、例の女の子と高校生くらいの男の子がケンカしておる。
ツカツカと立ち去るその娘を尻目にふてくされる高校生。こっちをみて、
「たいじゅさんは単車で事故ったんスよね?ちょっと聞いてくださいよ!」
なにやらその高校生。単車乗りのグループの仲間がみんな高校を辞めてしまっておるそうじゃ。
残っておるのは自分だけ・・・悪いから学校を辞めようと考えてると申しておる。
「今付き合ってる仲間は一生付き合える奴らだと思うんスよ・・・だから自分も」
そんであの娘は怒っておったんかや。なるほど。
「アッ子さんは『社会に出たらひとりっきりで生きていくんだから、そんなの甘えよ!』って言うんス」
車椅子の彼は、
「同感です。不自由な身体になったって、結局は自分ひとりでやらなきゃいけないし」
他人に気遣ってもらうのを必要に嫌う彼。バレーボールでの骨折だって片腕で無理して怪我したんじゃろうな。
「・・・。」
高校生はなくなったその右腕を見て黙ってしまったとよ。重い一言・・・タメ年なのに、彼からは学ぶべき点が多い。
されど拙者は良い仲間がおるこの高校生と、本気で怒ってるその娘が羨ましく思えたでござるよ。
そこへ別の怪我人がやって来て、
「お見舞金が入ったから、みんなで焼肉食いに行くかぁ♪」
おぉ〜!またまた出動じゃ〜!!
車椅子やら松葉杖やら包帯を巻いたミイラのような集団が、ゾロゾロとビートルズばりに横断歩道を渡る姿はまことに滑稽じゃった♪
お互いに助け合って病院のそばにある焼肉チェーンへ、いざ。
その中のひとりが、
「あれ?アッ子ちゃんはどっか行っちゃった??」
拙者、病院に帰って来るとアッ子ちゃんのトコロへ様子を見に行ったとよ。
「よけいなお世話だったかも」
ポツリとそう言う彼女は、なんか凹んでる感じ・・・
そんなコトはないぞな。あんなセリフ、言ってみたいし・・・言われてもみたい。
「あの子、若すぎて“夢の中”って感じでしょ?現実は甘くない!人はひとりで生きていくものだし」
そう言えば、アッ子ちゃんは先日彼氏と別れたばっかと申しておったな。ひとりきりになるとなんだか寂しげじゃ・・・
そんなある日、拙者がカップラーメンなぞを食おうと共同給湯器のトコロへ向かった時じゃった。
アッ子ちゃんが誰ぞ、若い男とソファに腰掛けて談笑しておるとよ。
なんだか楽しげ・・・別れた彼氏かのぅ?拙者、何故かチ〜と嫌な気分になったでござるよ。
カップに湯を注いだ帰りがけに、アッ子ちゃんは声をかけてきた。
されどジャマしてはイカンと思って(?)拙者、そそくさと病室へ引き上げて来たのじゃ。
テレビを観ながらラーメンをすすっておると、ほどなくしてアッ子ちゃんがやって来たとよ。
「あの人が事故の相手だよ。あたしに新しいクルマを買ってくれるってさ♪」
事故の相手?そうかぇ〜
「なんか、たいじゅって・・・妬いてたでしょぅ?さっき♪」
!?(うっそぉ!!)
いつも明るくて他人の話を親身になって聞く(何処ぞのCMのような)ひとつ年下のアッ子ちゃんに拙者、いつの間にやら魅かれておった・・・らしい(滝汗)。
普段こそばゆいまでの天然ボケをかます姿とは違う一面、他人を惹きつける情熱的な真剣さを時として感じるんじゃわ。
・・・そこが好き。
感情いっぱいに自分を表現してどこが悪い?相手のコトを訊いてナニが悪い??
みんながしてくれたように自分のコトを話すのは、
カッコ悪いのかえ???
境遇こそ違えど、この病棟には身体に怪我を負った者が集っておる。
なんで怪我をしたのか・・・を聞いて笑う者なぞ、
ひとりもおりませぬ!
語り合うコトによって癒される毎日。その空間がココにはありまする。自分を脅かす者なぞ誰もおりませぬ故。
お互いに曝け出し合う行為が、こんなにも自然で心地良いコトだなんて・・・知らなかったわ!
日常の生活では有り得んわなぁ〜
変わりゆく自分を感じた日々があり申した。
定期検診の日じゃった。拙者、担当の先生に言われたとよ。
「明日、院長先生の診察を受けて下さい。OKなら退院ですね」
退院!?
そんなコト、考えてもいなかったわ。逆に凹むとは・・・
「うっそぉ〜なんで?もっとここにいなよ!」
話を聞いたアッ子ちゃんが駄々をこねる。
「今から出動!!」
隣の喫茶店に連れ出されて、そこで最後のお別れをしたとよ。
「あの病棟って不思議だよね。怪我だけで、内臓とかが悪い訳じゃないからみんな元気だし」
ホントにそう思う。お見舞金で飲み食い三昧だなんて・・・入院して太ってしまったわ。
「退院かぁ・・・」
一緒に朝まで誰もいない待合所でこっそりと語り合ったりもしたとよ。それが出来ぬとは寂しい限りじゃわ。
「この一ヶ月間って普通なら短い時間なのに、一日中一緒にいるせいかな?一年くらいに感じるよね♪」
全く以って、そのとおり。御意にござりまする・・・
「みんなこうして退院していって、普通の生活に戻って行くのね」
いざこうなってみると言葉が出ない。ふってわいたような不幸(?)じゃ!
ふと気が付くと、例の【G線上のアリア】がBGMに流れておる。
しばらくこの空気のようなどこにでもある調べを、二人でしんみりと聴き入っておった・・・
ついに運命の院長先生の診察の日が来たとよ。これで終わりじゃ〜
ところが?
院長先生が拙者の身体をポンポンと叩いておったなら、
「ん?これは・・・脱臼してるぞ!あれ〜?なんで今までわかんなかったんだ??」
・・・へ?
「こんな肩の状態で一ヶ月も放っておいたんじゃ、かなり痛かっただろう?」
・・・んな、他人事のように(ーー゛)
「これじゃ退院はイカン!再入院だ」
・・・マジ♪
それから更に約一ヶ月間、楽しい合宿のような日々が続いたなりよ♪
ほんに楽しかったわ!まるで夢のよう・・・
あんな経験はたぶん、一生ナイ。
それはまことに異常な生活じゃった。
今、オカリーナの演奏を聴き終えて思うコト。
【G線上のアリア】
アリアとは、イタリア語で空気。オペラでは、
≪独唱≫
と訳す。
みんなひとりでこの社会を生き抜いていかねばならぬ。
されど、それは“ひとりひとり”がどれだけ素敵な人生をおくれるか・・・であって、
“ひとりぼっち”
のコトでは、決してありませぬ!
ひとりひとりが輝いて唄う、感動の物語じゃて。
拙者は単車が大好きじゃ♪今までも・・・これからも・・・
ではでは〜☆